遡ること4年ほど前、厚労省は飲食店が牛のレバ刺しを提供することを全面的に禁止とした。隠れてグレーな方法で提供しているお店もあったようだが、万全な殺菌対策が確立するまでは日本ではレバ刺しは食べれないことになったわけです。
しかし、ここで一筋の光明と言えるニュースが飛び込んできた・・・
それは、フレンチ仕込みの低温調理法により、生のレバ刺しのような味わいが楽しめる合法の牛レバ刺しが食べられる店があるというもの。
中央線沿いのレトロな下町「西荻窪」にその店があるということで、噂の合法牛レバ刺しを食べに行ってきました!
レバ刺しが禁止になった経緯
その前に、まあ一応レバ刺しが禁止になった経緯を簡潔に振り返ってみましょう。どうでもいい人は飛ばしてください。
1990年代後半から厚労省はレバーなど食肉の生食を控えるように通達していたが、適切な加工基準を順守していれば問題なかったのです。
しかし、現在の厳しい規制の大きな要因と言ってもいい社会的な大食中毒事件が2011年に発生。当時、北陸3県と神奈川県で展開していた焼き肉チェーンが不衛生のユッケの提供により死者までだすほどの事件を起こしたのです。
この事件以降、ユッケなどの食肉の生食にはより厳しい規定が策定されたこともあり、提供コストの増加などの側面からも自然と飲食店から消滅していきましたね。
この流れで、牛のレバ刺しも2012年6月いっぱいをもって飲食店での提供が禁止に。
この焼肉チェーンが一つのきっかけになったことは間違いないですが、以前からも度々食中毒は起きていたようですから、このチェーンが起こさなくてもいつかは同じような状況になったのではないでしょうか。
まぁ、簡単に言うと現状は下記のとおり。
・ユッケ(牛肉):厳しい規定があるけどOK! 提供しているお店はあるが、規定順守にコストかかるため完全復活とは言えない。
・牛レバ刺し:禁止
・豚レバ刺し:禁止
※レバーは63度で30分以上の加熱をすることが提供条件。もはや刺しではない。
このような現状から馬レバーなどが注目を集めたりもしましたが、それでも個人的には牛レバーの美味しさは別格だと思っています。
禁止以降も、意図的にレバ刺しの提供が横行して逮捕者も出るくらい、みんなレバ刺しが好きなんですよ。
興奮が止まらない!合法「レバ刺し」に舌鼓
場所は西荻窪、駅前には昔ながらの大衆居酒屋が立ち並ぶいかにも中央線沿線という感じの町。2016年8月10日にオープンしたばかりという店舗は、その中でも格式高い高級割烹のような佇まい。
それが、「もつ吉西荻窪店」
京風もつ鍋を提供する「もつ吉」の姉妹店舗であり、もつ鍋の他に牛刺しや京野菜などを提供しているお店です。
内装も古民家風にデザインされていて、大人の雰囲気が漂う落ち着いた店舗。
今回の来訪目的は、もちろんこのお店がごり押ししている「合法牛レバ刺し」の一択。
フレンチ仕込みの低温調理法により厚労省の食品調理基準をクリアしているにも関わらず、生レバーのような味と食感を実現したというそれだ。
お店には申し訳ないが、メインのもつ鍋には目もくれずレバ刺しと肉刺し5種盛り合わせを中心に注文します。
当時のレバ刺し話に花を咲かせていると、待ちに待ったレバ刺しがついに姿を現します!
なるほど、見た目は生レバーの鮮やかな赤とは言い難いが、プリプリした生レバーのような感じは十分に伝わってくるじゃないですか!
とここで、私も決して食中毒にはなりたくない。ましてや4年以上ぶりのレバ刺しとなればなおさらだ。身体がびっくりしてしまうかもしれないし・・
念のため、店員さんに確認する。
ハレルヤ編集部:「このレバ刺し、本当に合法ですか?」
店員さん:「はい!合法ですよ!」
ハレルヤ編集部:「うん・・なるほど・・・お腹壊しませんよね~?」
店員さん:「特別な調理法で加熱済みなので大丈夫です!」
よし!店員さんのハキハキとした回答で精神的弱さを吹っ飛ばしたところで、数年ぶりのレバ刺しをいただきます。
もちろん、ごま塩で。
口の中に入れたときの滑らかさ、噛みしめたときの食感、生レバーのような風味といいほぼあの当時のレバ刺し。
久しぶりにこの味が楽しめたことによる喜びが押し寄せてくるのが分かります!本当にちょっとした感動レベル。
多少、火が入ったレバーの風味があることは否めないが、生レバ刺しの代替品としては十分でしょこれ。
かつての牛レバ刺し再現度85%!としてきます。
【結論】もうこれでいいじゃん。
レバ刺しへのあくなき探求心の強い世の強者たちは、規制以降その代わりとなるものを模索してきました。馬のレバーに始まり魚介類の珍味などにもその渇望を広げ、中でも「モウカの星」と呼ばれるサメの心臓はかなり近いという話もあります。(全然違うという意見もあるし、希少なので中々食べられません)
個人的な感想ではありますが、今回のもつ吉のレバ刺しは全く当時のものと遜色ない美味しさであったと言えます。
もしかしたら、軽く火が通っている分旨味が凝縮されてより一層美味しくなっているのではないかと感じてしまうほどにです。
だから・・・
「もうレバ刺しはこれでいいです!」
【もつ吉西荻窪店】
住所:東京都杉並区松庵3-38-13
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)
休日:月曜日
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13198160/
▼「肉刺し5種盛り合わせ」肉本来の旨みが楽しめます。
左上:ミスジ大トロ刺し、左下:赤身刺し、真ん中:塩麹漬け赤身刺し、右上:西京漬け赤身刺し、右下:牛レバ刺し