博物館といえば歴史的な価値のある資料や美術品などを収集し展示している施設ですが、より我々の身近な物を収集している珍しい博物館があります。
身近“だった”物と表現したほうが正しいのかもしれませんが…。
所蔵カセットは800本以上!『名前入りカセット博物館』に、あなたのゲームカセットがあるかも?
その一風変わった博物館が、名前が書かれているファミコンなどのゲームカセットを収集し、持ち主を探し続けている『名前入りカセット博物館』です。
自分も子どもの頃ゲームカセットに名前を書いてた!という方も多いでしょう。ひと昔前は子どもがゲームカセットを落としたり友達同士での貸し借りでトラブルになったりしないように、カセットに名前を書く家庭がたくさんありました。それが思い出の詰まったカセットだとしても、時が経つとやがて中古店に売られたり、友だちにあげたり、借りパクされたりしながら今でも彷徨っている物が多くあります。
名前入りカセット博物館ではそんな「思い出のカセットをもう一度、持ち主の手に帰したい!」という想いから、名前が書かれているカセットを見つけては"保護"し、サイトで公開。持ち主が現れることを願いながら活動を続けているのです。
▼この写真は名前入りカセット博物館が所蔵しているカセットたち。写っているのはファミコンのカセットですね。懐かしい…。時代を感じます。
▼真ん中手前の「トップガン」のカセットには「まえだ いさお」という名前が書かれています。
▼ゲームボーイやスーファミのカセットもありますね。名前が書かれている古びたカセットを見ると、なんだか切ない気持ちになります。このように主に名前が書かれたカセットをこちらの博物館が保護しています。
このように、所蔵されている名前入りカセットはなんと800本以上!もしかしたらあなたが手放したゲームカセットが眠っているかもしれませんよ。以下のページからゲームタイトルや書かれている名前などでカセットの検索・閲覧ができます。
もし自分のものだと思うカセットが見つかったら?
もし自分のカセットを見つけることが出来たらお問い合わせフォームなどから博物館に連絡してください。スタッフの質疑応答による持ち主確認後、3つの条件に同意できる方にだけカセットが返却されます。条件は以下の通りです。
- カセットは手渡しでお戻しさせてください。
- カセットはあなたの思いの額で買い取ってください。
- カセットにまつわるお話をサイトに公開させてください。
余談ですが、2016年11月にミニチュアサイズのファミコン「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売され話題になりましたよね。当時のカセット挿入形式ではなく本体の中に30本のゲームタイトルが収録されているそうです。すごい時代だ…。個人的にはカセットを挿すタイプで出してほしかったですけどね。
『名前入りカセット博物館』について、館長の関さんにインタビューしてみました!
類を見ない面白い取り組みをしている『名前入りカセット博物館』ですが、設立の経緯や、気になっているカセットなど、館長である関 純治さんにいくつかお話を伺ってみました!
Q:サイト公開から今まで持ち主に帰っていったカセットはありますか?
残念ながら、まだありません。
多少間接的な情報や寄せられているのですが、基本、持ち主本人から名乗り出てもらう事を前提としていることと、情報の確度の問題からまだ動いてません。
また、カセットに書かれた情報をネット検索することである程度場所や人が特定できるかもしれませんが、そういったことは現時点では極力しないつもりです。
Q:『名前入りカセット博物館』を設立した経緯を教えてください。
もともとファミコンを中心にレトロゲームソフトのコレクションはしていたのですが、全部集めたという人が既にそれなりにいたこと、ネットの普及で探すわざわざ足を運んで探しに行く意味がないと感じるようになっていたことからコレクションすることへのモチベーションが下がっていた頃、アメリカでソフトに名前が書いてるNESソフトを見つけ、外国人も日本人と同じようにカセットに名前を書いていると知った時、「しまった、集めるのはこっちだった!」と目覚め、名前付き中心のコレクションがはじまりました。
それから、だらだらと名前付きソフトを集めていたんですが、昨年、雨上がり決死隊さんのバラエティ番組(関西での放送)で取材を受け、そこで持ち主に返す計画を話したのですが、これが機かなと実行しました。
Q:名前入りカセットはどのようにして集めていますか?
中古店をまわって購入しています。昔は定期的に探しに行ってましたが、今はどこかへ出かけた際に中古店を見つけたら立ち寄ってます。
また、購入は自費ですので全て買うのは難しいので自分なりに下記のルールを作って買ってます。
- 名前だけ・・・300円前後まで
- 氏名または重要な情報入り・・・500円前後
- 極めてユニークなもの・・・上限なし
という感じです。
Q:保護した名前入りカセットは現在どのくらいありますか?
サイトオープン段階で800本(嘘みたいですが、数えたらぴったり800本でした)、現状、登録していないのが50本ぐらい溜まっています。
その中に一つ面白いものがあります。
10月に、UAE(ドバイ)に行ったのですがそこで1つゲットしました。
ゲームボーイのポケモン金の海外版で、ぴかぴかではないですがカセットの色は金です。(日本版のカセットは黒)
富豪のものだったのか???みたいに妄想が膨らみます。
▲提供いただいた実際の写真。たしかに日本版のポケモン金は黒色のカセットでした。一番右の写真に「MM」と読める文字がマジックで書かれています。イニシャルでしょうか?真ん中の写真には399AEDと書かれていますが、これはドバイの通貨ディルハムです。現在1AED≒29〜30円程度とのことで、日本円にすると約12,000円!めっちゃ高いです…。
Q:今後の新たな活動予定・目標があれば教えてください。
目標はもちろん、まずは1つ返す事ですが、海外のレトロゲーム愛好家と連携して世界的な活動にしたいです。最近コンタクトとりたいという外国人が数名いるのでその方々と色々展開したいと思ってます。
あとは、なるべく近いうちに何処かのギャラリーを借りて実物を展示、公開とかもしたいと思ってます。
今まで保護してきたカセット中で、特に思い入れや気にかかるようなカセットがあれば教えてください。
NES版リンクの冒険
この活動を始めるきっかけとなった重要なソフト。
金色でかっこいい。
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=ns000000
プロ野球ファミリースタジアム(ファミスタ)
名前ではないですが、「一泊200円」と書かれたファミスタ。
見ての通り、有料で貸し出ししていたと思われ、ファミスタは当時絶大な人気があったのですぐに元がとれたことでしょう。
今は、きっと大きなお金を動かして荒稼ぎしてることでしょう?
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=fc000180
おにゃんこタウン
ええ?あの人の?感じです。
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=fc000064
SHOGUN
「まつもとひとし」というのもあります。
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=fc000142
チャレンジャー
名前が2つ書かれている
どういったやり取りがあったのか興味深いダブルネーム系。
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=fc000160
ファミリートレーナー
両親の愛にあふれる、理由は色々あれど手放さないでほしかったソフト。
大きな箱なのでもらった時のうれしさはも大きかったはずといいたいが、本当はもっとゲームらしいゲームがほしかったかも。
http://bonusstage.net/famicassearch/detail.php?id=fc000188
Q:この記事を見ている方にメッセージがあればお願い致します。
とにかく、自分のモノがあったら名乗り出てください!それにつきます。
また、元週刊ファミ通 編集長のバカタール加藤さんのニコ生番組に出演させていただいており、そこでも話をしてるのですが、持ち主を探しながらくだらない企画もやっていきたいと思ってます。
具体的には占い師の方やサイコメトラー的な能力を持つ方に協力していただき、その能力で探す等。
ですので、もし、この記事をみてこのような能力でご協力いただける方がいらっしゃいましたらご連絡ください!
※前回放送された、関さんが出演しているバカタール加藤さん出演の番組(ニコニコ生放送)
帰ってきたファミコン通信vol.4 名前入りカセットの謎 PART.3
博物館に掲載されているカセットを見ていると、紹介したもの以外にもいろいろな歴史を感じられてとても面白いです。早くカセットの持ち主が見つかるといいですね。館長の関さん、ありがとうございました!
さいごに・・・
かくいう私自身も過去にファミコンのカセットをすべて売り払った経験があります。
私が中学生の時、プレイステーションが全盛期でした。もうファミコンをプレイすることもなくなり、友人もプレステやXboxなんかで遊ぶようになっていました。お金が無性に欲しくなった私はトップボーイというゲーム屋さんに行き、何十本もあったファミコンのカセットを全て売却してしまったのです。確か4,000円くらいにしかならなかったと記憶しています。それでも当時の私にとっては大金でした。
今回、僅かな希望を抱き『名前入りカセット博物館』で自分の名前がないか検索してみましたが、残念ながら保護されていないようでした。ここには昔遊んでいたゲームがたくさん並んでいて、そういえばこのゲームやってたな、懐かしいなと、全てを売り払った過去の自分の行動を悔やみました。
“ゲームをやるだけ”なら、今から中古屋で買ってプレイすることはもちろん可能です。しかしこの博物館でいろいろな名前入りのカセットを見ていると、書かれている名前や傷、汚れ、貼ってあるシールなど同じソフトでも全く違うそれぞれの歴史を感じ、買い直してプレイするだけでは心が埋まらない得も言われぬ寂しさを覚えました。
ここにあるカセットにはきっと、持ち主だけの思い出や歴史が詰まっていることでしょう。この記事を見ていただいている方で、過去に手放してしまったカセットがある方はぜひ検索してみてください!懐かしい、過去の自分に出会えるかもしれません。
情報・写真提供:名前入りカセット博物館
※「ファミコン」をはじめとする、本WEBサイト内で記載する呼称、名称、略称、商品名は発売元である各社の登録商標です。