「山崎」をはじめとして日本のウイスキーが世界中で人気を博しているようですね。
ソーダで割ったハイボールも、居酒屋ではド定番のお酒となりました。
一昔前は、「山崎のソーダ割り」と注文していたのに、今は「山崎ハイボール」と注文する時代。
そんな中、先日ちょっと興味深いアンケート結果(※)が目に留まりました。
ウイスキー好きが集まる「ウイスキー検定」というものがあり、そこの受験生が選ぶ一番好きなウイスキー銘柄No.1に輝いたのが「ラフロイグ」というスコッチウイスキーだったのです。
お酒に慣れ親しんでなければ、「ラフロイグ」なんて聞いたこともないという人もいるかもしれません。
このウイスキーは、ショットバーなどに行けば必ずと言っていいほど置いてあるウイスキーなのですが、あまりにも・・本当にあまりにも強烈なクセを持った超飲みにくいウイスキーなのだ!
昔、一度だけ嗜んだことがあるのですが、あまりにもクセが強いため、とてもじゃないが二十歳そこらの若造が飲むものではないと感じた記憶が蘇ります。
あの時の感情のまま言えば、「うわっ! クサっ! こんなの飲めるわけねぇぇえ!」。
そんなラフロイグがNo.1になるというのは個人的には衝撃的な結果。
あの強いクセの先には一体何があるのか? ウイスキー好きを惹きつける魅力は何なのか? 今、時を改めて飲んでみることにしました。
※参照 納得!意外?ウイスキー好きに聞いた「好きな銘柄」ランキング!
「ラフロイグ」聖地“アイラ島”で製造されるシングルモルト
まずはラフロイグというお酒を簡単に説明しておくと、ウイスキーとしてはスコットランドで製造されるスコッチウイスキーに分類されます。
スコッチの中でも、ウイスキー好きからは聖地として崇められるアイラ島にある蒸溜所の一つがラフロイグ。このアイラ島で造られるウイスキーは、総じて独特な強いクセを持っているのが特徴なのですが、ラフロイグはその中でもとりわけ個性的だと言われています。
アイラの自然が産み出すピートと呼ばれる泥炭を製造過程で使用しているため、スモーキーかつ潮の強烈な香りがします。
それこそがラフロイグであり、ハマれば中毒になるほどだというのですが、ウイスキー素人には中々ハードルが高いんですね。
それこそ、正露丸やら薬品と比喩されるくらい。
▼ウイスキーの聖地“アイラ島”の大自然
【実飲】時を経てラフロイグに挑戦してみた
事実、「ラフロイグ」をGoogleで検索してみると、「正露丸」というキーワードが関連キーワードとしてあがってきます。
あの独特なピートの香りが正露丸や薬品臭に似ていると感じている人は相当多いようです。
ラフロイグ好きに言わせればあの正露丸にも似た強烈な香りがたまらないというのですが・・・
本当ですか??
ラフロイグは「正露丸」の香りがするというのは本当か?
こちらが実際にamazonで購入した「ラフロイグ10年」。
緑色のボトルにシンプルなラベルは、確固たる強いこだわりと風格さえ感じます。
おっと、栓を開けてみると、わずかながらに独特な香りが漂い始めている模様。
ストレートグラスに注いでみると、意外にも綺麗な琥珀色。もっと濃い色を想像していましたが上品で気品溢れる色味。
さて・・・
開栓してからグラスに注ぎ終わるまでの間、もうすでに完全に漂い始めています。
どこか知っているあの匂いが!
鼻孔を全開に膨らませて、ラフロイグが注がれたグラスから漂う香りに身を任せてみると・・・
くぅぅ! まさに正露丸のような匂いがっ!
若造の時は、正露丸云々というよりもただただ臭くてキツくてとてもじゃないが飲めないと思った。
ただ、今違うのは、その独特の香りの他にも何か別のものを感じます。
そしてそれは、決して嫌いではない。
臭いという感情以外にも、ポジティブな感情が自分の中に芽生えているのも事実。
そういえば・・・
常備薬としてありましたね、アレが。
匂いを嗅いでみると・・・
むはっ!
あっ! やっぱり似てます。
ストレートで飲んでみたら意外にも・・・
ウイスキーの飲み方はいくつかあります。
大まかに分類すると、そのまま飲むストレート、氷を入れるロック(オンザロック)、水割り、ソーダ割り(ハイボール)など。
オンザロックのほうが飲みやすいが、ウイスキー自体の香りが損なわれてしまいます。
そうなるとやはりストレートで楽しむのが、ラフロイグの本来の味と香りを体感できるというわけですね。
先程のストレートグラスに注がれたラフロイグを口に含んでみましょう。
ベリースモーキー! ベリーハード!
味わってみると、ラフロイグが最もスモーキーなウイスキーと評される理由が分かります。
口に含んだ瞬間から鼻にぬけるまで驚くほどスモーキーで強烈な香りが襲い掛かってきます。
素人には、顔をしかめてしまうほど飲みにくいウイスキーであることは間違いないでしょう。
ただ、
ただ・・・、
「臭い、キツい」と言いながらも、もう一口、もう一口を欲している自分がいます。
以前飲んだ時には、二度と飲みたくないと感じたにも関わらず、気付いたらチビチビと飲み進めている自分が。
私は、あの強烈なクセをも受け入れてしまうくらいおっさん化してしまったのだろうか?
気付いた時には、クセの先にあるバニラのような芳醇な味わいさえ感じるようになっていましたよ。
オンザロックでも試してみよう
アルコール度数43度もあるウイスキーなので、さすがにストレートで飲むのも限界がある。
今度は、氷を投入してオンザロックスタイルでラフロイグを飲んでみます。
うん、ストレートで飲むよりも、若干あの独特のクセが抑えられて飲みやすくなっているように感じます。
氷で冷やされているため口当たりは優しいですが、それでも鼻にぬける香りはやはりラフロイグ。
最後はラフロイグハイボールで!
今や最もポピュラーなウイスキーの飲み方となったのがハイボール。
ダイエット等の健康志向からも、ここ数年でハイボールを飲む人が急増したように感じます。
「ラフロイグをハイボール」で何て言うと「邪道だ」と玄人の方からお叱りを受けそうですが、それでも試してみたいラフロイグハイボール。
んっ! 美味い!
これは、かなりおすすめ!
ラフロイグのあの強烈なスモーキーさが、居酒屋で飲む安ハイボールとは比べ物にならないほどの重厚感を演出しています。
ラフロイグの複雑な香りが炭酸の喉越しと相まって最高!
もちろん、ソーダで割って飲みやすくなってもクセがなくなったわけではないので、ハイボールならラフロイグ自体が美味しく飲めるというわけではないけども。
ただ、ラフロイグの登竜門としてはハイボールはかなりおすすめかもしれない。
ラフロイグ中毒への階段を登り始めていたことに気付きました
二十歳そこそこの頃、かっこつけて入ったショットバーで「何かおすすめのウイスキー下さい」と言ったが故に出会ったラフロイグ。
あのバーテンさんは、一体どういうつもりで二十歳そこらの若造にラフロイグを出したのだろうか?
強烈なクセに対してどう反応するのかを楽しんでいたのだろうか?
まぁそれは良いとしましょう。
確かに、それ以降ラフロイグをはじめとするアイラ島のウイスキーは苦手なお酒となってしまい、今後飲むことはないだろうと思っていました。
あれから時が経ち30代も半ばとなった今、ふと思いついて再挑戦してみたラフロイグ。
結果は御覧の通り、まだまだ飲みにくさを感じるのは否めないが、それと同時にラフロイグの魅力というものが分かってきた気がします。
あのスモーキーさが段々と心地よくなり、飲んだ後に広がるバニラやシナモンにも似た芳醇な香りがあることに気付いてしまったから。
人間の趣向と言うのは、クセが強ければ強いほどハマりやすいものですからね。
もしかしたら、数年後の我が家にはラフロイグが常備してあるかもしれない。
そういえば、クサヤも人生で一度食べたきり二度と食べないと心に決めています。
好きな人は本当に好きなんでしょうが、どうしてもあの匂いだけは口に入れてはいけない気がしてまして。
今度は、こちらも再挑戦してみようかな。
【おまけ】ラフロイグはいくつかの種類がある
お酒にはよくありがちですが、一口にラフロイグと言ってもいくつかの種類があるようですので、以下にまとめておきましょう。
「ラフロイグ10年」
最もポピュラーで一般的に市場に流通しているのが、今回飲んだ「ラフロイグ10年」。
熟成年数の違いで言うと、10年以外にも「15年」、「18年」、「25年」、「30年」などがあるようです。
値段は、もちろん熟成年数が長いほど高くなっていき、30年ものとなると10万円を超えます!
「ラフロイグ10年」だと、大体4,000~5,000円前後が相場のようです。
「ラフロイグ セレクト」
「ラフロイグ セレクト」は、ノンエイジものでシェリー樽やバーボン樽などで熟成された原酒をバッティング(要は混ぜる)した後、アメリカンオーク樽で後熟したもの。
10年ものと比べると、スモーキーさが抑えられ甘美な味わいが広がる深い仕上がりになっているとのこと。
スモーキーさが抑えられているとのことなので、初心者にはこちらのほうがいいのかもしれません。
値段は、10年よりも多少安価になっています。
「ラフロイグ ロア」
2016年から数量限定で発売されているのが、希少価値も高い「ラフロイグ ロア」。
1815年の創業以来受け継がれてきた技術と経験を次世代へ伝承LORE(ロア)するという情熱を込めてつくりあげた商品。
スモーキーさと、柔らかな甘み、芳醇なフルーティーさが特徴の限定品。
希少性が高いと言っても、amazonや楽天などの通販サイトで在庫を確認することができました。
ただし、その値段は、余裕で1万円は超えてきます。
※本稿は、2018年5月現在の情報に基づいて執筆しております。