見たこともない深海魚に子供も大人も大興奮! 深海魚を眺めて食べる会『深海ギョッチ』潜入レポート

みなさん深海魚と聞くとどんなイメージがありますか? 「気持ち悪い」「グロテスク」「食べても美味しくない」のようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。そんなマイナスのイメージを覆すイベントが、東京都駒込で開催されました。その名も『深海ギョッチ』です。

深海ギョッチ』は、ゆるい魚好きがつながるコミュニティー「さかなの会」が主催する、
出荷されなかった深海魚を眺めて美味しく食べちゃおうというイベントです。2014年から定期的に開催されており、今回で5回目を迎えます。

【深海ギョッチについて】
新潟県糸魚川市の筒石漁港の底曳網漁に掛かったもののうち、出荷されなかった魚や生物、モノを観察し実際に食べてみて楽しむという、「さかなの会」主催のイベント

【魚楽団体さかなの会について】
2006年に自然発生したゆるい魚好きがつながるコミュニティー。代表は、おさかなコーディネータのながさき一生。魚を食べる、魚を捌いて料理するなど魚を楽しむイベントをゆるく開催し、述べ参加者は1000人を超える。
■URL:http://sakana-no-kai.com/

イベント概要はこちら

・イベント名:深海ギョッチ ~底曳網の出荷されなかった魚を眺めて食べる会~
・日時:2019/3/30(土)14:00~16:00
・場所:東京都豊島区駒込
・開催スケジュール
 14:00 挨拶・説明・自己紹介
 14:15 全体観察、仕分け
 14:45 食べる魚を選んで調理・試食
 15:45 片付け
 16:00 終了

ではさっそく潜入レポートしていきます!

『深海ギョッチ』潜入レポート

イベントに集まった方々は、子供から大人まで約20名。いつもは冷凍された深海魚を用意するそうですが、この日は運が良く新潟県糸魚川市の筒石漁港で前日に水揚げされた深海魚が用意されていました。しかも実際に深海魚を獲った漁師さんが新潟からいらっしゃっていましたよ。ズワイガニの漁をしているそうですが、深海魚がよく底引網にかかるそうです。深海魚は、通常海の上でリリースしてしまうため出荷されることはなく、今回のイベント用にお持ちいただきました。

▼会場は魚好きな子供や大人がいっぱい。

▼深海約450mで獲れた新鮮な深海魚がたっぷりです

挨拶・説明・自己紹介

さかなの会」代表のながさきさんと、生き物コンサルタントの青木さんの挨拶からスタート。魚の知識はもちろんのこと、魚がめちゃめちゃ大好きという気持ちがあふれ出ている2人の軽妙なトークに会場も盛り上がります。

今回強力な助っ人として、4月から高校1年になる饗場空璃(あいばそらり)くんも登場。魚の知識がものすごく、何を聞いても答えてくれるスーパー中学生(現高校生)です。小学校時代から100匹を超える魚を自宅で飼育しており、深海魚を見る目がキラキラしていました。

▼息ぴったりのながさきさんと青木さん

▼テレビ出演したこともある饗場空璃くん

全体観察、仕分け

まず似たような容姿の魚に分類していきます。魚だけでなく様々な深海生物も交じっていましたよ。

▼手際よく仕分けしていくながさきさん

▼全身ぷるぷるのザラビクニン

▼イタリアから来日した女性も恐る恐る持つことに成功

こちらの方は来日してまだ1か月の作曲家さん。イタリアの北部出身の方で、生魚自体あまり食べないそうです。お知り合いの日本人の方と来ていましたが、来日早々深海魚にびっくりしていましたよ。最後にはザラビクニンを持つことに成功していました!

▼干物や丸干しが美味しいノロゲンゲ。ナガツカも交じってますね。

▼大量に獲れたヤナギガレイ

▼居酒屋メニューでおなじみのホッケも、実は深海魚

開いて焼いてあるホッケは居酒屋でよく見ますが、丸のままのホッケを見る機会は少ないのではないでしょうか。

▼マダラ(左の2尾)とおそらくアゴゲンゲ(右の1尾)

▼こちらはナガツカという深海魚

主に練り物の原料となるナガツカは、鮮魚として流通することはほとんど無いそうです。卵巣に毒を持っているそうで、捌く際には注意が必要ですよ。

▼これは食べられないウミケムシ

▼エビの中で1番美味しいかもしれないというクロザコエビ

▼饗場空璃くんが激レアと喜んでいたサナダミズヒキガニ

▼体長5mにもなるミズダコも美味しいらしい

仕分け後は、ながさきさん、青木さん、饗場空璃くんによる深海魚豆知識トーク。見たこともない深海魚を名前だけでなく生態や美味しく食べる方法まで、笑いを交えながら詳しく説明してくれました。3人の知識量が凄すぎます。

▼ザラビクニンの説明をする青木さんと饗場空璃くん

食べる魚を選んで調理・試食

全ての深海魚や生物が食べられるわけではないので、ながさきさんと青木さん、水産流通業務に携わっている関係者の指導の下、食べられる魚を選定していきます。

選定が終わったら、みんなで深海魚を捌いてみることに。「普段魚捌かないよ」「まして深海魚なんて捌いたことない」なんて言っていた方々も数匹捌くとすぐに慣れ、次から次へと捌いていました。

▼ヤナギガレイもこの通り

▼上手に捌く姿がさまになっています

こちらのカップルは、ネットでイベントを見つけ、面白そうだなと思って参加したそうです。その行動力すごいですね。最初は苦戦しながら深海魚を捌いていましたが、いつのまにか深海魚捌きマスターになっていました。

▼ながさきさんの手際が良いです

▼油で揚げていきます

▼甘エビはカラッっとから揚げに。鉄板の美味しさです

▼ノロゲンゲは天ぷらに

▼ザラビクニンの天ぷらはフワフワ食感

▼意外な美味しさにこの笑顔

『深海ギョッチ』に参加して

深海魚はまだまだ未知の部分が多く、生態も明らかになっていない部分がたくさんあるそうです。3人でも判断を迷った深海魚は、饗場空璃くんが持ち帰って同定(種名を調べる)することに。「早く持ち帰って同定して標本にしたいです」と興奮する姿が印象的でした。本当に魚が好きなんですね。

普段見ることができない深海生物を眺めるだけでなく美味しく食べてしまうという『深海ギョッチ』は、深海魚の意外な側面が垣間見え子供から大人までワクワクできるとても楽しいイベントでした。ながさきさん、またお邪魔させていただきます。今後も定期的に開催する予定ということなので、興味がある方は是非お子さんといかがですか?