購入後の店員の「お見送り」は50%以上が苦手!それでも店員さんは止めない理由
前々から無意味だなと感じていたことがある。
服屋などで買い物をした際に、店員が「入口までお持ちいたします」とお見送りしてくれるサービスです。
高級ブランドショップやセレクトショップならほぼ100%の確率でこの「お見送り」サービスを受けるでしょう。
しかし、このサービス苦手と感じる人も多いのではないだろうか?
かく言う自分も、どちらかと言えば苦手。正味10秒くらいかもしれないが、手持ち無沙汰な感じと気まずさを多少なりとも感じるからだ。
苦手ゆえに、レジで「ここで大丈夫です。」と言ってしまうこともあるし、店員さんに何となく悪い気もするから「他にも見たい商品あるので」と、本当は即行立ち去るはずだったのに、無意味に数分間も店内をうろついた後、サーと静かに店内を出ていくフェードアウト作戦を実行するなんてこともあります。
日本の過剰サービスとして、頻繁にメディアでも議論されているところだが、店員側からするとこの「お見送り」サービスをどのように捉えているのか?アパレルショップ、セレクト雑貨で販売員として経験のある2人の方に話を聞いてみました。
「お見送り」サービスは50%以上が苦手と感じている
その前に、「お見送り」サービスに関する一般アンケートの結果がこれ。
半分以上の人はあの「お見送り」サービスに対して苦手意識を持っていることが判明。
日本人の性格を考えれば当たり前の結果なのかもしれないが、苦手と感じる理由としては以下のものがあげられます。
- 気まずい空気が流れる
- (他の人に)うちは人気のある店ですよという店側のアピールに使われている気がする
- すごい少額のものでもやられると恥ずかしい
また、この「お見送り」サービスがリピーターとして今後の購買に繋がるかどうかの調査では、繋がると思う(少しは繋がると思う)23%を繋がらないと思うが32%と上回った。
店員側から考える「お見送り」サービス
お客さん側の立場からしてみれば「お見送り」サービスは50%以上の人が止めてほしいということが判明。
では、「お見送り」する側の店員さんはどのように捉えているのか?
今回は、東海地区で広く展開する高級アパレルブランドで約1年間ほど店頭スタッフとして働いたことがあるマツイさん(20代男性)と、代官山のおしゃれセレクト雑貨店で3年間ほどショップスタッフを務めたE.Kさん(20代女性)に話を聞いてみた。
マスゾー(筆者、以下省略):「お二方ともお見送りやってたんですよね?」
マツイさん:「やってました。」
E.Kさん:「はい。」
マスゾー:「これってお店とか会社からやるように指導があるんですか?」
マツイさん:「いいえ、僕の場合は特に研修などで指導されたわけではありません。先輩たちを見ていて、自然と同じような振る舞いを覚えました。」
E.Kさん:「私も同じですね。」
マスゾー:「お客さんによってやる人、やらない人って使い分けてました?」
E.Kさんさん:「こちらからお客さんによって変えることはしませんが、お客さんが「お見送りは結構」ということであればしなかったこともあります。
また、沢山のお客さんがご来店されレジが混雑している時などはしない場合もあります。そこは店内の状況を見てですね。」
マスゾー:「なるほど、では購入した価格によってやるか、やらないかってありました?」
E.Kさん:「いいえありません。どんな少額であってもしていました。また、購入されなかった場合でも、常連さんやしっかりコミュニケーションが取れたお客さんでしたらお見送りをしていました。」
マツイさん:「僕もそうですねー」
マスゾー:「お見送りをすることで、自分の太客となって、今後の売上成績に繋がればいいなーという気持ちはありました?」
マツイさん:「それはない...とは言い切れないですねー。そういった事を考えてやっていたわけではありませんが、自分の顧客になってほしいという気持ちは間違いなくあったので。」
E.Kさん:「お店全体のことか、個人のことかは別にしてそれは絶対にあるんじゃないでしょうか。」
マスゾー:「一般の調査結果からは50%以上の人は苦手らしいですが、それでも店員さんとしてはやると思いますか?」
マツイさん「そうですね。店の方針などが変わらない限り、お店へ足を運んでいただいたこと、購入いただいたことへの感謝の気持ちとしてやると思います。」
つまり、2人の話からすると、「お見送り」はお客さんとのコミュニケーションのために自らやっていたということに。そして、苦手を感じる人がいようが、止めるという選択肢を取ることはほぼ不可能であるということ。
店としてリピーター顧客獲得のためにマニュアル化されているところもあるというが、厳しいアパレル業界で個人個人が生き残るに必要不可欠な営業活動となっているのかもしれない。
結局はスタッフの空気を読む力に頼るしかない
自分自身、苦手と言いつつも毎回そうだったわけではない。数回はスタッフと話が盛り上がっていい雰囲気になったこともあるんです。
つまり、その時の自分の気分、心の余裕、付いてくれた店員さんとの相性などによって「お見送り」をやってほしくないときとやってもらっても構わないときがあります。
だから、今回の結果を受けて、アパレルショップの店員さん達に「お見送り」は止めたほうがいいと主張するわけではありません。
しかし、お客側には購入後の「お見送り」サービスを実行するかどうかの決定権は有していない。後に断るにしても、とっかかりの主導権は全て店員側にあるのだ。
この辺りも含めて、接客のプロであるショップの店員さんには人並み以上に空気を読む能力が求められているのかもしれません。
【調査概要】
調査方法:ドリームニュースモニターアンケート
対象:日本全国10~80代男女404名
調査期間:2015年12月9日~2015年12月11日