初めに言っておくと、乳幼児や小さな子供に対して入館を禁止している美術館はほとんどないということ。特定の展示で、子供の入館を禁止するものがあったとしても、本来美術館は子供であろうと入館は問題ないのです。
それでも美術館に子供を連れて行くということは、ちょっと気が引ける気がしないだろうか。それは、たとえ静かにマナーを守っていたとしても子供がいること自体を良しとしない人がいるからなのかもしれない。

小さな子供を美術館に連れて行くことに対しての賛否を、子連れに対して周りはどのように思っているのかを調査してみました。

4割近くの人は美術館に子供を連れて行くべきではないと考えている

もちろん、美術展の中には子供向けのものもあるが、今回は一般的な美術展に子供を連れて行くことの是非を調べてみた結果です。

アンケート調査の結論から言ってしまえば、約4割近くの人が美術館には小さな子供を連れて行くべきではないと思っていることが判明。
しかも、約13%の人はマナーを守れたとしても絶対に連れて行くべきではないと思っているが分かりました。

美術館側が子供に入場規制を設けていなくても、仮に子供であってもウェルカムというスタンスであったとしても、実情は、激しくマナーとモラルの問題が問われる場所であるということです。

以下で反対派と賛成派の意見をまとめてみました。

反対派の意見

美術館に子供を連れて行くことに対して反対派の意見がこちら。

  • 子供向けのイベントや、子供連れ可ならいいと思うが、そうでないなら迷惑。 美術展側が、子供連れOKの日を設けるなどすればいいと思う。(40代女性:会社員)
  • 美術館の展示品にもよるけど、やはり静かに見たいと思う。 でも、子供がいるからみれないというのも違う気がします ただ子供でもマナーがあれば良いと思う。出来たら、子供が入れない時間帯も作ってはどうだろうか(50代女性:主婦)
  • 子供が退屈しているなら、子供が楽しそうな場所に連れて行った方がいいと思う。(30代男性:フリーター)
  • 余りにも小さい赤ちゃんなどは突然泣くので、やはり連れてきて欲しくない。(40代女性:会社員)
  • 泣き叫ぶ子どもや、走り回る子どもを不快に思いますが、それ以上に、その子どもたちに対して怒鳴り散らす親の態度の方が、多いに不快であります。 しかり方が有るんじゃないのと思います。(50代女性:主婦)
  • 美術展に限らずある程度の年齢までは逆に連れて行かれる子供の方が可愛そう。(50代男性:会社員)

単純に静かに鑑賞したいという意見があるのは当然というか予想通りではあったが、今回、反対派の一部であがっていた意見に関してはとても深く考えされられるものでした。
それは、一体何のために子供を美術館に連れて行くのか?というもの。

この後の賛成派の意見でも触れるが、小さな時から芸術に触れされることは大事という考え方がある一方で、ほとんどの場合が親のエゴじゃないかという意見。
子供の立場からすれば、面白くもない興味もない美術展に連れていかれても退屈なのは当たり前であって、言い換えてしまえば、子供がパパママの趣味に付き合ってあげている立場。退屈すれば騒ぐかもしれない。そこで「静かにしなさい」と注意したとしても、それは筋が通っていないだろうという考え方です。

子供を連れて行くことに対する考え方以前に、子供を連れて行く意味について考えさせられます。

賛成派の意見

賛成派と言っているが、もちろん騒いだりしているのを容認するわけではなく、保護者の管理がしっかりと行き届いていてマナーを守っているのが前提での賛成ということ。
それは、子供が思いっきり走り回って騒いでいても平気で美術鑑賞できる人はそうはいない。

  • ルールとマナーを徹底させれば別にかまわない。逆に美術品を子供の目に触れさせる事で教育になる。子供が芸術を分かればの話だが。(40代男性:自営業)
  • 子どものうちから審美眼を身につけることはとても良いことだと思う。学校では画一的なことしか教えないので、自由な感性は親が与えるべきものだと思う。(40代女性)
  • 連れていくのは構わないけれど、一般的な常識を守れない親が連れていくのは迷惑。子供が飽きて騒ぎ出さないように工夫して、連れていくのならいいと思う(40代女性:会社員)
  • 教養を深める為にも、展覧会に子供を連れて行く事は良い事だと思う。 マナーを事前にしっかりと教えておくことが必須ではありますが。(30代女性:主婦)

小さな子供を美術館に連れて行くことに対して賛成派の意見で多かったのは、やはり教育的によいからという意見。
小さな時から美的センスを養っておくことは大事だし、親であれば自分の子供に対してそのように考えるのも当然。
自分の興味ある美術展に行き、子供と共感することも決して悪いことではありません。
中には、少しくらいなら騒いだとしても大目に見るという意見もあったが、まあこれは相当な特別な考え方の持ち主でしょう。

実は子供連れて写真展に行ってたんです!

実は、この記事を書くことになったきっかけとして、先日子供を連れてとある写真展に行ってきていたのです。
どうしても行きたかった写真展であり、スケジュール的にも行くならこの日しかないという状況ではあったのですが、都合により子供も一緒に行くことになったのです。
自身、根本的には周囲に子供がいてもそんなに気にしないよ程度のスタンスでしたが、自分の子供が周りに迷惑をかけるかもしれないというのが嫌で相当慎重になっていました。
予め、美術館に問い合わせをし「お子様がいても問題ないですよ」との返事をいただいた上で、混雑を避けるためにオープンと同時に入りました。

実際に行ってみると、チケット売り場でも入場の際にも、子供を連れていることに関しては特に何事もなくスルー。
「お子様に関してはしっかり見ててくださいね」的なことを言われるかと思ったらまったくなし。それどころか、ベビーカーだったためか「エレベーターはあちらにありますから」とか、「お荷物大変でしたらお預かりしますから」とか、ものすごい子供もウェルカム的な雰囲気の丁寧な対応でホっと一段落。

展示場では、空いていたためかベビーカーに一瞥くれる人はいるものの、皆さん黙々と写真を鑑賞。いい状況を狙ったのが良かったのか思っていたよりは楽しむことが出来ました。
まぁ、うちの子供は大人しかったのはいいけど、決して興味津々というわけではなかったので早めに切り上げましたが。

連れて行く前は、結構ナイーブになって泣いたり大声出した場合のイメージトレーニングもしていましたが、良い状況を選んで行けばノンストレスで楽しめるんじゃないでしょうかね。

まとめ

綺麗ごとを言ってしまえば、大人とか子供とか関係なくマナーを守れれば誰にでもアートを楽しむ権利はある。
しかし、何となく美術館には子供を連れてはいけないというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
過去には、有名芸能人が自身の子供を連れて美術館に行ったことをSNSで報告したらネットで激しく批判された例もあります。(決して泣きわめいて周囲に迷惑をかけたわけではないと思うが・・)
美術館に子供を連れて行くこと自体は、マナーを守った上で子供も純粋にアートを楽しむことが出来るならば何も問題はないというのが一つの結論。周囲の人たちも多くは子供連れであろうとも気にはしないだろう。

しかし、アンケート結果からも分かるように、騒がずマナーを守っていても子供がいるだけで良く思わない人がいるのも事実。保護者としてその雰囲気を気にしてしまいアートを楽しむことができないなら、連れて行く日時や時間帯、子供の状態などをよく考えた上で慎重且つ適切な判断をしたほうがよいのかもしれない。

ドリームニュース

【調査概要】
調査方法:ドリームニュースモニターアンケート
対象:日本全国10~80代男女434名
調査期間:2016年5月11日~2016年5月16日