2018年に1号店をオープンしてから、徐々にその店舗数を拡げている焼肉屋があります。
焼肉のファストフード」をコンセプトに掲げた『焼肉ライク』がそれ。

『焼肉ライク』は、1人で焼肉を食べるということを前提とした1人焼肉の専門店。
1人でも行ける焼肉屋ではなく、1人で行く焼肉屋」が登場したのだ。
この業態は、今後の外食産業の新たな形となる可能性を秘めているのかもしれません。

今回は、2019年1月29日にオープンしたばかりの「渋谷宇田川町店」に突撃。焼肉のファストフードとはどのようなシステムなのかを実際に体験してきました。

【焼肉のファストフード】1人で楽しむ『焼肉ライク』のシステムを体験

今回、訪問した「焼肉ライク 渋谷宇田川町店」は新橋本店、新宿西口店に続く3店舗目となる模様。
基本は、オフィス街周辺のサラリーマンや学生をメインターゲットにしたと思われますが、渋谷ということもあり女性客の来客も期待できそうな感じ。

▼黒とウッドを基調にしたモダンな雰囲気。庶民的過ぎず、高級過ぎず、誰もが入りやすく仕上げている。

タイミング悪ければ行列が出来ているという噂もあったのですが、お昼時を過ぎた2時頃に伺うとすんなりと席に案内されることが出来た。
それでも、9割は席が埋まっているような状態。渋谷ということもあり、待つことはないもののひっきりなしにお客さんが入店してきます。

▼2名用の小さなテーブル席もあるが、基本的にはカウンタースタイル。

▼それぞれの席には、専用の小さなロースターとタッチパネルモニターが完備されている。

自分専用のロースター。網交換もできるが別途30円必要

注文した焼肉は、目の前にある専用のロースターで焼くことになります。自分が丁寧に育てたお肉を他人に食べられる心配は無用。自分だけの絶対的テリトリーが出来上がるのだ!

▼ロースターの火の管理も自分で行うことになる。

後述していますが、タッチパネルで注文してからの料理の提供スピードは驚くほど速い。
注文と同時にロースターに火をつけておいて問題ない。

ランチで利用する分には必要ないでしょうが、夜にお酒を飲みながらゆっくり焼肉を楽しみたいというときには、焦げ付いた網を交換したくもなるでしょう。
そんなときは、タッチパネルのサービスのメニューから「網交換」を押せば、店員さんが来て新しい網と交換してくれる。

ただし、網交換は別途30円がかかりますよ。

注文はすべてタッチパネルで完了する

このあたりも、焼肉のファストフードを謳う所以なのでしょう。お肉やドリンクなどすべての注文はタッチパネルから行うようにシステム化されています。

好きなメニューをタッチして注文確定すれば、あとは席で待つだけ。
紙エプロンは、席に案内される際に必要であれば店員さんが持ってきてくれますが、後からタッチパネルで注文することも可能。
つまようじも、追加の皿もすべてタッチパネルから。

席について、タッチパネルをピコピコしたら、後はスマホをピコピコしてればいいのだ。
「すいませーん」と店員さんを呼び出す機会なんて皆無と言っていいかもしれない。

料理の提供スピードはめちゃくちゃ速い

今回は、セットメニューから「ミスジ&ハラミ セット(200g)」を注文。
こちらの料金は1,300円(税抜)だが、希少部位のミスジを使用していることを考えれば、「高過ぎる!」とひりつくこともないでしょう。
もっとも安い「うす切カルビセット(100g)」なら、なんと530円(税抜)というワンコインレベル。

そして、驚いたのはその提供スピード
タッチパネルで注文完了してから、わずか2~3分ほどで提供されました。
このシステムとあれば当然なのかもしれないが、牛丼屋と遜色ないほどの提供スピードである。

※ご飯の量は、タッチパネルの注文時に大盛、普通、小盛から選択できる。料金は変わりません。

▼なかなかの肉質。激安焼肉屋の肉とは見るからに違う。

恥ずかしさは皆無! 後は自分のペースで好きに焼いて食べるだけ

お肉が提供されたら、後は自分のペースで楽しむだけ。
1枚ずつじっくりと丁寧に焼きながら食べてもいいし、最初に全部焼いてしまって焼肉丼みたいにしてもいい。

1人専用ロースターとあって、大きめの肉であれば2~3枚で焼くスペースがなくなってしまうけど。

焼肉用のタレは複数用意されています。醤油ベースのオーソドックスなものから味噌ダレという変化球まで。
牛タンには必須のレモン汁や、おろしにんにくも薬味として完備。

タレを変えながら黙々と焼肉を食べていると、自分が驚くほど目の前の肉に集中していることに気付きました・・・。
周囲のお客さんも1人で来ている方が大半を占めているからなのか、1人で焼肉を食べていることに対しての恥ずかしさなど微塵も感じなかったのだ!

焼肉のファストフードか。
なるほど、これはちょっと面白い。

味もさることながら、システム的にも非常に面白い体験をすることが出来た気がします。

【最後に】1人でも焼肉に集中できる環境、新たなジャンルの確立と実感

近年、1人でも焼肉が楽しめる焼肉屋というのは増えてきてはいますが、ここまで「1人で楽しむ焼肉」に特化した店というのは初めてではないだろうか。
入店から退店まで、まさにハンバーガーチェーンや牛丼屋に入ったかのようなファストフード感がありました。すべてスピーディーに事が進めば、10分ほどで食事を終えることもできるでしょう。

また、これが良いのか悪いのかは別問題として、一言も声を発する必要がない(店員との会話が必要ない)のではないかというくらいの淡白さ。
それも相まってか、周囲の目を全く気にする必要がないくらい焼肉に集中できる環境になっていると実感。
人と人とのコミュニケーションがなくなるのは寂しい気もするが、実際、殻に閉じこもりたいときもあるしね。

若い女性が1人で食べてようが、全く気にすることはないでしょう。

現在、東京都内で3店舗を展開する『焼肉ライク』ですが、2019年3月以降、さらなる店舗拡大が予定されているようです。
焼肉のファストフードという新たなジャンルが確立されて、誰もが当たり前のように1人で焼肉を食べる時代が来ているのかもしれない。

▼追加注文もタッチパネルで。腹が減っては戦は出来ぬゆえに。

▼箸とおしぼりは席の引き出しに入っているという斬新さ。