寒い冬になると恋しくなってしまうのは、やはり日本人としてのアイデンティティなのでしょうか。
温泉というものはいつまでも私たち日本人の心を掴んで離しません。
もちろん、海外にも温泉はありますが、日本の温泉旅館の情緒ある佇まいはやはり別格でしょう。

「温泉はやっぱり冬」と勝手に思い込んでます。雪化粧を施した自然を眺めながら入る温泉っていうものは、古来より日本人にとっての幸福の一時であったわけですから。

この冬に温泉旅行に出かける予定のある人も多いことでしょうが、ここで一つ質問。
温泉旅館に行った際の「心付け」という風習があることをご存知でしょうか?

ご年配の方々には、「そんなの常識だ」と言われてしまいそうですが、意外にも若い世代は知りません。
社会経験の中で知り得る知識というものがあるとすれば、この風習がまさにそれです。
私自身が知ったのも20代後半くらいでしょうか。それまでは、全く知りませんでしたよ。そこそこの老舗温泉旅館にも行ってましたけどね。

温泉旅館での心付けとは?

心付けとは、簡単に行ってしまえば旅館の女将(仲居さん)に渡すチップのようなものです。

「お世話になります」という感謝の気持ちの表れとしてお金を包むという古くから続く伝統的な風習。厳密な意味合い的には、感謝の気持ちという部分でチップとは違うという意見もありますが、まぁチップでいいでしょう。

この風習・・・良く考えてみると何か釈然としない感覚に陥りませんか?
欧米などでは、チップという文化が生活に根付いていて、レストランでもホテルでもタクシーでもチップを払うものという認識はほとんどの人が持っているはずです。
対して、日本にはチップという文化は無く、1円単位でお釣りもちゃんともらう。
そんな、今までの相対的な常識が崩されたかのようです・・・・・

いや、話が変な方向に行きかけましたが、実は日本にも旅館では心付けというチップのような習慣が古くからあったというわけですね。

先に言っておくと、この心付けですが必ずしも渡さないといけないものではありません!

渡さなかったからといって、その後のサービスが悪くなるとかそういうことでもありません。海外ではチップ渡すまで帰らないベルボーイとかいますが。

心付けを渡すタイミングと渡し方

心付け自体が必要か不要かは置いておいて、もし心付けを渡すのであればベストなタイミングというものが存在します。
それは、初めに仲居さんに部屋に案内された時

旅館にお世話になる際、初めに部屋に案内されてお茶とお茶菓子でおもてなしされるでしょう。ここで仲居さんに渡すのが一番ベストと言われています。
去り際にさりげなく渡すのがスマートです。
その際に、ぽち袋があればそれに入れて、用意が無ければお札を小さくたたんでティッシュにくるんで渡せば問題ありません。

その他のタイミングとして、夕食の準備に来た際に渡すという人も多いようですが、一番オーソドックスなのは最初の挨拶の時に渡すと認識しておきましょう。

心付けの金額の相場は?

さて、気になるのは心付けの金額でしょう。
大体いくらくらい包めばいいのか?一説には宿泊料金の1割~2割が相場という話もありますが、それが正解というわけでもありません。
平均的な相場としては3,000円とも言われています。

しかし、今回ハレルヤで実施したアンケート結果では以下のような結果に。

心付けを渡すことがあると回答したユーザーに、一般的な旅館で渡す心付けの金額を聞いたところ、一番多かったのは1,000円という回答。

3,000円が相場だと言っても、3,000円って結構な金額ですよね。
現実的に結構厳しいわけであって実質的には1,000円くらいで済ませている人が多いという結果になりました。

心付けは必ずしも必要なものではない!

ここまで、温泉旅館には古くから心付けという風習があって、渡し方やタイミング、金額の相場などを説明してきましたが、そもそも心付けって必要だと思いますか?

心付けを渡すかどうかのアンケート結果は、以下のようになっています。
・心付けは必ず渡す        4.9%
・状況に応じて、ときどき渡す  27.3%
・心付けは渡さない       41.8%
・心付けの風習を知らなかった  25.9%

心付けの風習自体知らないのであれば渡すこともありませんが、知っているという人の中でも多くの人は心付けを渡していません。
必ず渡すという人はわずかに5%未満。

心付け不要派からは以下のような意見が出ています。

  • 日本ではいらないと思う。もしいる宿泊施設ならサイトなどで記載してほしい。(50代女性)
  • 旅館代にはサービス料も含まれているので、特別世話を掛けた場合以外は不要であると考えている。(40代女性)

多くみられたのは、サービス料も払っているわけだから心付けは必要無いという意見。
実際にこれが、心付けが必ずしも必要なものではないという理由の一つです。
つまり、昔とは違い現代においては心付けは必要ないと一般的に考えられています。
これは、旅館側も同じで旅館によっては表面上では金銭のやり取りを禁止しているところもあります。

決して義務ではないし、マナー違反になるわけでもない!

しかし、時と場合によっては心付けも含めた大人の対応が求められる場合もあります。

心付けを渡したほうがよいと思われる場面

心付け自体は必ずしも必要なものではないと結論付けましたが、以下のような場面では心付けを渡す選択肢を持ち合わせておいたほうがよいでしょう。

・団体での利用
・子供連れの場合
・急遽、駅まで迎えに来てもらった
などなど

つまり、必要以上に旅館側に迷惑をかけてしまう場合(迷惑が予想できる場合)です。
こういった場合には、心付けという風習を知っているかどうかが重要になるかもしれません。

まぁそれでも絶対ではありませんが、知っていると知っていないとでは大人としての風格が全然違います。

サムネイル画像出典:By No machine-readable author provided. Crown of Lenten rose assumed (based on copyright claims). [GFDL or CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

ドリームニュース

【調査概要】
調査方法:ドリームニュースモニターアンケート
対象:日本全国10~80代男女428名
調査期間:2016年1月28日~2016年1月31日